2020-05-13
今年1月の中国武漢での流行、全国への感染拡大を受け、中国では、1000万人を超える人口を有する武漢市を封鎖し、市民の移動を制限するとともに、全国各地においても、人々の自由な移動を制限することで、感染拡大の防止に取り組んできました。市民の日常生活を徹底して抑制することで、感染拡大防止の取組は一定の成果を挙げ、安定した生活に戻りつつあります。
3月中旬に大連に戻った際には、感染拡大防止のための中国側の徹底した対応が見られました。空港到着時には、防護服に身を包んだ中国側職員が入国者の体温測定を実施するとともに、日本での滞在地域、感染者との接触履歴等の確認が繰り返し行われ、二重三重のチェックを経て、ようやく入国することが許可されました。また、入国後も14日間の隔離措置が実施されるなど、感染拡大防止の取組が徹底されています。(私は幸い自宅隔離でしたが、その後、指定施設での集中隔離が導入され、大変不便な生活を強いられることになりました。現在では、日本人の中国渡航は、一部例外を除き、事実上禁止されています。)
こうした取組を経て、大連市内は既に平穏を取り戻しており、市民生活も依然と変わらない状況に戻りつつあります。唯一の例外は、町ゆく市民が全員マスクを着用していることであり、感染予防に対する意識の変化が伺えます。
また、公共施設やホテル、百貨店、スーパー、飲食店等への入場に当たっては、「マスク着用」、「体温測定」、「健康コードの掲示」が例外なく求められます。施設の出入口が限定されていることもあり、出入口では、スマホアプリで健康コードを読み込み、体温測定を待つ人の人だかりが出来ることもあります。
ただ、このアプリは、中国の主要都市ごとに開発が進められ、大連市のアプリが他都市でも適用できるか等の課題を有しており、国内出張が問題なく出来るか等の懸念がありました。そうした中で、最近、中央政府(国務院)が全国で通用する滞在履歴を確認するアプリの提供を始めました。国務院のアプリは携帯番号を元に、直近14日間の滞在地域を確認し、感染危険地域に行っていないことを表示するもので、スマートフォンの位置情報の履歴を活用しているとのことです。(ただ、どの程度の情報が吸い上げられているか不明なため、移動履歴等が丸裸になってしまうとの不安を抱く人は、日本人、中国人を問わずいるようです。)
労働節休暇後の中国では、数日間、国内すべての地域が低リスク地域になりましたが、ここ数日で再び感染者が確認され、リスク区分の変更が行われるなど、まだまだ警戒を緩めることは出来ない状況ですが、一日も早く、多くの規制が解除され、日本との往来が復活することを期待しています。
写真:国務院提供アプリ
(過去14日間の滞在地域を表示(問題がなければ緑色))