2020-05-13
中国での新型コロナウイルスの感染拡大は、中国人の消費意欲が高まる春節時期を直撃し、感染拡大防止の取組として実施された中国全土での移動制限、企業の生産活動の抑制等を通じ、社会全体に大きな影響を与え、中国の経済活動は大きく落ち込みました。
先日発表された統計によれば、中国の第一四半期の国内総生産(GDP)は、前年同期比-6.8%まで落ち込み、四半期毎の統計としては、資料が残る1992年以降、初めてのマイナス成長になったとのこと。また、小売売上高も-15.8%となるなど大きな落ち込みが見られました。その一方で、ネット販売額の落ち込みは前年同期比-0.8%に留まり、小売売上高に占めるその割合は23.6%まで上昇し、インターネットを通じた販売拡大の流れが明確になっています。
街中に目を転じると、食品などの生鮮品を扱うスーパーなどの小売店は賑わいを見せる反面、レストランなどの飲食店は、密集状況を回避するため、会食・宴会等の需要が激減し、経営面で苦しくなり、既に閉店された店舗も多くなっています。(とある省では、政府の呼び掛けに反し、地方政府幹部が関係者と会食したため、処分された事例もあるようです。)
こうした状況に加え、現在は家庭内での食事機会が増えていることから、料理の宅配に参入する店舗も増加しています。個人的には様々な飲食店のメニューを楽しむことが出来ると喜んでいるところですが、歩行者道路も含め、街中を縦横無尽に走り回る宅配バイクも多く、交通事故が増えないかと心配しています。
また、今回の世界的なウイルスの蔓延を受け、中国では雨後の筍のように、マスク生産企業が増えています。当事務所にも様々な売込みがあります。品質の確保が出来るかとの課題もありますが、大連市政府推薦の貿易企業もありますので、もしマスク等の調達に関心がありましたら、当事務所まで御連絡願います(※輸出マスク等の品質確保のため、先般、中国政府がマスク等の輸出規制を強化したところです)。
日中関係の今後の交流再開を見据える中で、日本への旅行需要を支えてきた中国側旅行社の状況が大変に気になるところです。中国全土における移動制限は解除されましたが、まだ、他省への団体旅行の実施は認められていません。加えて、中国人向けの査証発給が停止している状況では、新たな日本向け旅行商品の造成・集客も出来ないため、大変苦しい経営環境にあるようです。
中国では現在、様々な企業が本業以外での取組の強化を図っており、中国側旅行社の中には、旅行目的地である日本各地の特産品を紹介し、ネット販売を行う取組の導入を始めているところもあります。こうした取組を通じて、今後の渡航先としての認知度向上を図るとともに、将来の旅行需要の喚起に繋げていきたいとの意向もあります。
実際、どの程度、商品販売が期待できるか等の課題はありますが、将来の旅行商品の造成促進に向けた繋がりを強化する取組と位置づけ、旅行社との連携強化を図ることも必要ではないかと感じています。最近、「患难见真情」(困難の時こそ真の友情を知る)との言葉に触れる機会が多く、旅行社が困難な今こそ積極的な協力を行い、将来の取組に繋げ、「損して得を取れ」ないかと考えています。新潟の皆様からも、是非、御支援・御協力を頂けないかと考えており、関心があれば御連絡いただければ幸いです。