TOP

大連レポート

○「越後杉」中国輸出で販路拡大目指す

2013-10-23

 昨今の日中関係の悪化が懸念される中、10月18日~19日の2日間の日程で、大連中日貿易投資展示商談会が開催され、当事務所の募集・取りまとめにより、県関係企業等6団体が出展した。会場全体としては、日系企業出展の伸び悩みにより、過去の開催状況と比較して、全体として活気のない商談会となっていた。
 そのような中、当県の出展団体の中に、県産杉で名高い「越後杉」の中国への販路拡大を目指して出展した団体があり、会場内で一際高い注目を浴びていた。
(サンプル品展示により、商談会に出展する様子)
 この団体は、県産杉の販路拡大を目指す県及び地元森林組合、併せて、中国の木材加工業者とすでに取引のある糸魚川市関係企業が共同で取り組む組織である。
 出展の経緯として、そもそも県産杉は、戦後に大量に植林された人工林を中心に伐採期を迎えており、新たな需要先の確保が求められる一方で、将来的な人口減少等による木材需要の減少が見込まれる国内市場の現状を踏まえ、木材需要が急増する中国への輸出による販路拡大を目指す実証事業の一環として試みている背景がある。
 また、高い経済成長が続く中国では、木材需要の急増とともに、国内の木材だけでは賄いきれない実情に加え、自国の天然林の乱伐を原因とした大洪水頻発の教訓等から、禁伐等の法規制が進み、ロシア材など外国輸入材に一部依存せざるを得ない現実もある。
 一方、県内では、強度及び抗震性が高く安心安全な越後杉は、杉が本来持つ特徴としての、優れた調湿効果や断熱性能、さらには有害化学物質の除去等の空気浄化作用も兼ね備えるなど、健康面でも大きな効用があると高く評価されており、すでに県内では、一般住宅だけでなく、高齢者施設や幼稚園などの公共施設にも積極的に使われているという。
 今回の取組は、糸魚川産県産杉を市内で製材加工し、直江津港からコンテナ輸出した上で、大連を内装材等の加工拠点及び販売窓口として中国国内で販売することを目的としており、その前段としてサンプル品を当商談会に出品し、実際の商談を通じて市場調査し、課題抽出することが狙いであった。
 フローリング用床板、壁、天井羽目板、テーブル等を展示したところ、その温かい色合い、心地よい香り、程良いつやなど、中国の方々の関心は予想外に高く、破格の商談ロットに、出展者側が戸惑う場面もあった。
 今後の課題として、輸入材としての高い価格設定の中、まずは越後杉の優れた特徴や効用を、中国富裕層を中心に地道に広めていき、認知度を高めていく努力が必要であると考えている。
 今回の商談会出展をきっかけに、大連市内の高級家具建材センターで、越後杉サンプル品の常設展示がすでに開始され、宣伝PR用の越後杉中国語版パンフや今回の商談会で展示した越後杉紹介パネルも飾られている。
 この動きが、中国輸出による販路拡大への端緒となることに期待するとともに、当事務所としても、新たな市場開拓に向けて、できる限りのバックアップを続けていくことにしたい。(わ)
(大連高級家具建材センターでの常設展示の様子)