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大連レポート

○2018年春節動向

2018-03-30

    「春節」とは旧正月のことで、中国では新暦の正月よりも盛大にお祝いする。今年は2月15日~21日が春節休暇にあたり、多くの中国人が帰省、海外旅行等を楽しんだ。この春節期間中は例年消費が大幅に伸びる時期だが、2/22付け中国経済網によると、全国の小売・飲食業の売上は昨年同期比10.2%増の約9260億元(日本円で約15兆7千億円!)に達したという。同記事によると、バーゲンや市場、縁日、大みそかの晩さん、爆竹等春節ならではの伝統的な消費が依然として旺盛なうえ、オーダーメイド旅行、映画鑑賞、展示会廻りといった新たな消費傾向や、ネット・スマホを利用した新しいタイプの購入形態も売上増の大きな要因という。春節期間中に中国商務部が実施した全国各地での重点観測によると、有機穀物、有機野菜等健康食品の売上増が顕著で、江西省、青海省、山東省でそれぞれ27.5%、16%、12.7%増を記録したという。また、貴金属の販売も好調で、特に戌年に因んだアクセサリーが人気の的となっているとのこと。陝西省、貴州省、吉林省の貴金属企業の売上はそれぞれ43%、30.6%、17.8%増という。
スマートテレビ、ロボット掃除機、浄水器、皿洗機等の家電も人気で、江西省、青海省、遼寧省でそれぞれ18.4%、15.2%、11.2%増だという。記事では、シンプル、エコといった消費理念が定着しつつあり、品質重視、個性重視、オーダーメイドの消費傾向が顕著に表れたと分析している。  一方で、大晦日の家族団欒の宴などは依然、春節市場の主役であり、各地で大晦日の食事の予約が立て込み、老舗飲食店での予約率は95%以上にも達したという。上海での大晦日の飲食業の売上は11%増となった。大晦日の宴の出前、シェフの出張サービスも新たなブームとなり、江蘇、浙江、広東等の飲食企業が連携し、飲食分野のアプリを利用し、大晦日の食事の宅配サービスを押し薦めており、上海の一部ホテルでは、「持ち帰り」サービスの提供や、自宅にいながらシェフのオーダーメードサービスをも受けられるという。天津の一部の飲食方面のアプリは需要がありすぎて、注文に対応しきれないところもあったそうである。春節期間中、遼寧、山東、山西、湖北、広西、海南各省での重点観測の結果、飲食業者の売上は前年同期比でそれぞれ約10%増となり、河北、福建、内モンゴルでもそれぞれの増加率は8.9%、8%、7.6%となったとのことである。
一方、今年の春節期間中の中国人の海外旅行動向であるが、2/2付け中国経済網の予測記事によると、前年同期比5.7%増で、過去最多の650万人が68か国・700余りの都市へ海外旅行に出かける見込みで、最も遠い場所は南極(!)、最も長い日程で29日間(!)だそうである。団体旅行の割合は52%、個人旅行は48%で、5人に1人が海外旅行初体験とのことである。また、今年の春節海外旅行での消費額は一人当たり9,500元(日本円で約162千円)で過去最高となる見込みで、当然ながら国内旅行平均消費額3,500元(日本円で約6万円)を大きく上回ると予想している。最も高額な旅行地十傑は、順に南極、アルゼンチン、ブラジル、タヒチ、ノルウェイ、タンザニア、アイスランド、メキシコ、ニュージーランド、フィンランド。最も高額な南極旅行の一人当たり平均消費額は16万元(日本円で約270万円)に達するという。今年の春節における海外旅行の10大出発地は、順に上海、北京、広州、成都、深セン、南京、杭州、ハルビン、天津、武漢。新潟空港と定期路線で結ばれているハルビンが第8位と気を吐いている。一方海外旅行でお金をたくさん使ってくれるのはどこの都市住民であろうか?同記事では順に、蘇州、銀川、北京、上海、宜昌、無錫、杭州、瀋陽、鄭州、南京と予測している。当事務所がある遼寧省の省都瀋陽が8位にランクインしている。春節海外旅行先として人気の国はというと、順にタイ、日本、シンガポール、ベトナム、インドネシア、米、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、カンボジアと予測されている。タイは避暑地として、日本は雪見が流行となっている。昨年3位の韓国は圏外となっている。毎年人気のバリ島は火山噴火の影響で春節時の気温が下がり、その代替地としてベトナム、フィリピン、カンボジア等が人気の由。春節個人旅行で人気の都市は、香港、プーケット、大阪、マカオ、東京の順。記事は、春節海外旅行の主力は1970年代~80年代生まれの家族連れに加え、90年代生まれの1/3に相当する、帰省して親に結婚を勧められるのを避けたい「恐婚族」であると結んでいる。             (す、お)