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大連レポート

○中国のキャッシュレス事情について

2019-08-01

    現在、日本では様々な企業がキャッシュレスの導入に取り組んでおり、キャッシュレス化の普及・拡大が期待されています。一方、中国では既に『情報技術(IT)やテクノロジーの発展を背景に、インターネットをベースとする「新経済(ニューエコノミー)」が急成長』しており、中国で暮らす上で、キャッシュレスの活用が不可欠となっています。今回、大連経済事務所への赴任に合わせ、中国でのキャッシュレスの普及・活用状況を体感しているところであり、中国でのキャッシュレス社会の状況を報告します。
参考:スマホ画面(アプリの状況)
中国でのキャッシュレス利用には、中国での銀行口座の開設が不可欠であり、外国人にとって、口座開設が大きなボトルネックになっています。特に外国人旅行者には、開設のハードルが高く、この対策が求められています。
その一方で、一度、「WeChat」、「支付宝」等のキャッシュレス機能を導入すれば、その機能を中心に、銀行口座、スマホ口座、タクシー等の手配、旅行予約、ネット販売、食事宅配などの多様なアプリとの連携が図られ、スマホのみであらゆる日常生活が可能となっています。
実際、街中では老若男女を問わず、キャッシュレス決済が大半となっており、現金での決済はかなり減少していると感じています。
また、中国でも銀行口座の開設、携帯電話の契約は実名登録が前提であり、こうしたアプリと個人情報が紐づけられることで、その当否は別として、生活の安全・安心の確保にも繋がっています。(アプリ等の活用履歴と町中の防犯カメラ等を組み合わせることで、財布・スマホ等をタクシー等に忘れても、持ち主に返ってくるとのこと。)
更には、決済履歴や閲覧履歴等を活用したターゲットを絞り込んだマーケティング等も行われており、既に、こうした膨大な蓄積データを活用した様々な取組が日本を上回るスピードで改良を加えられながら行われているとのことです。
中国には、これまでの1990年代後半、2000年代後半の2回滞在し、様々な経験をしてきました。今回の大連赴任後、まだ間もないですが、中国の生活環境は近年、飛躍的に向上しており、ビジネス環境等も大きく改善が図られていると実感しているところであり、多くの皆様に中国の今を直接に触れて欲しいと考えています。
参照:西村友作著「キャッシュレス国家-「中国新経済」の光と影-」文春文庫(2019年)