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大連レポート

○中国のインターネット最新事情~中国インターネット発展状況報告より~

2020-06-19

中国インターネット情報センター(CNNIC)が、先般「第45回中国インターネット発展状況報告」を発表しました。この報告によると、今年3月現在の中国におけるインターネット利用者数は、前回調査(2018年12月)時と比べ7,508万人増加し、9.04億人となり、中国におけるネット普及率は64.5%になったとのことです。

中国での生活において、SNSでのコミュニケーション、情報収集、動画視聴、ネット決済等、あらゆる場面でインターネットを活用している私としては、中国国民の1/3以上が未だにネットを利用していないとの調査結果に大変驚かされました。これは、農村部のネット普及率が46.2%と、都市部の普及率76.5%に比べ大幅に低くなっていることが要因で、都市部と比べた際の農村部住民の低学歴傾向、高齢化、インターネットへの知識不足等がその主な理由とのことです。

実際のインターネットへの接続ツール(複数回答)については、スマートフォン(携帯電話)を通じたアクセスが最も多く、ネット利用者全体の99.3%を占めています。一方、パソコンからのネット利用はそれぞれ、デスクトップ(42.7%)、ノートPC(35.1%)、タブレット(29.0%)となり、前回調査時よりも何れも減少しているとのこと。

因みに、1週間当たりのネット利用時間は30.8時間となり、前回調査時と比べて3.2時間増加しているとのことで、様々な目的でのネット活用が広がっているようです。

ネット利用の目的別では、先ず第一がSNS等の即時通信の利用であり、8.96億人が利用しており、ネット利用者全体の99.2%が微信(WeChat)、QQ等を活用しているとのこと。こうしたアプリは、既に単なるコミュニケーションツールから、様々なサービスのプラットフォームへと進化を遂げており、多くの利用者にとって欠かすことのできない存在となっています。

また、スマートフォンを利用したネット決済、それらを活用したネット通販の利用者もそれぞれ7.68億人、7.10億人と、前回調査時から何れも1億人以上利用者が増加しており、ネットを通じたデジタル経済が拡大しています。

中国政府の発表によれば、2019 年のネット小売額は10.6兆元(前年比16.5%増)で、そのうち実物商品のネット小売額は8.5兆元(同19.5%増)となり、7年連続で世界最大のネット小売市場となっています。

中でも近年、ネット通販分野における「ライブコマース」(ネット生中継による実演販売)による販売促進の取組が急速に導入されており、2020年はライブコマース元年になると言われています。

また、もう一つの大きな流れとして、旅行分野におけるネット展開も加速しています。既に多くの旅行者が、旅行先での写真・動画等を自身のSNSに発信し、多くの人と共有していますが、観光地自身が地域の魅力を動画等で配信・紹介するバーチャル観光を導入し、地域の魅力への理解を深め、実際の旅行ニーズに繋げていく取組を拡大しています。

   中国市場の開拓においては、県産品販路開拓、観光客誘致等の分野を問わず、インターネットでの取組展開が不可欠となっていますので、そうしたニーズを考慮しつつ、中国向けの取組を検討することが重要かと思います。(了)