TOP

大連レポート

○「代購」商品を取り巻く環境 ○宅配便サービス急増の背景

2015-01-31

○「代購」商品を取り巻く環境
 日本商品(日本製もしくは日本産商品、以下同じ)取扱の専門店、高級スーパーや百貨店で、日本商品の特設コーナーや催事を拡充する動きが目立っている。昨年来の急激な円安進行は、日本商品の仕入価格を押し下げる方向に寄与する一方、もともと高品質で高い信頼性を誇る日本商品は引き合いが強く、かつ、中国国内の所得水準の向上により中高所得者層が拡大する中、価格帯として買い求めやすい商品が増え、その市場規模も着実に大きくなってきている。

(天津伊勢丹 日本展「新潟物産展」開催)
 中国最大の通販サイト「淘宝網」等では、外国製品を販売するための「代購」(海外商品の代理購入サービス)サイトが非常に多い。その背景の一つに、「代購」を割の良いアルバイトとして、または、サイドビジネスとして荒稼ぎしている中国人留学生が、日本を含む世界各国に多く存在するという話を耳にする。実際、日本商品「代購」販売サイトで取り扱う商品は多種多様、時計バッグ等の有名ブランド品、化粧品、ベビー用品、美容家電、サプリメント、日用雑貨品まで、あらゆる人気商品がラインアップされている。「代購」の人気商品を見ると、中国人の嗜好や中国市場で不足のアイテムを知る上で良い参考となり興味深いが、驚くべきことは、その一部商品の価格の安さ。これにはカラクリがある。個人輸入であることに加え、なかには、知人や出張者など自らのネットワークを駆使して日本商品を中国大陸に持ち込んでしまう、いわゆる「運び屋」経由で仕入れた商品をネット経由で売りさばくケースも多いという。この場合、関税や送料の価格転嫁がないため、割安の販売価格が可能である。私の携帯電話にも「微信」(weixin)を通じて、毎日大量の「代購」商品が配信されてくる。人気が高い日本商品の「代購」販売量は莫大なものになっているものと思われる。 
 昨年10月に訪日観光客向けの消費税免税制度が大幅拡充され、その取扱店も大きな広がりを見せる中、ビザ要件の緩和により訪日観光客の増加は今後弾みが付くことが予想され、関税や消費税を全てすり抜けて中国大陸で売買されていく商品も増えていくことだろう。大連で昨年オープンした日系大手ドラッグストアチェーンの店舗には日本で流行の化粧品や日用雑貨品が店頭に数多く並べられている。当然のことながら、その店舗内の外国商品は関税込の正規輸入商品であることから、一部に「代購」商品との価格差という面で非常に際立っている商品があり、昨今の「代購」商品の広がりは、実店舗の売上げを妨げる販路として無視できない存在になりつつあると聞く。恐らく、このような実店舗で実際の商品を手に取り、自分の目で確認した上で、「代購」経由で購入する消費者も数多いのだろうと容易に想像できる。今年の春節は2月18日から24日まで休日となるが、有名海外旅行サイトの旅行商品や予約データを見ると、2月14日から急上昇し24日を過ぎても多くの予約で埋まっている。どうやら、昨年実績を超える大量の訪日観光客が日本各地を訪れることは確実で、これら観光客が大量の免税商品を中国大陸に持ち込み、その商品の一部を「代購」市場に大量投入し売買することも又、確実なようだ。(わ)
○宅配便サービス急増の背景
 90年代終わりの中国留学時代、荷物の送付や受取のため、わざわざ郵便局まで出かける必要があったことを覚えている。その当時から15年余り、中国国内の物流状況は劇的に改善し、宅配便サービスの市場規模が爆発的に増えている。全国郵政管理業務会議によると、2014年の国内の宅配便の取扱個数は140億個に上り、前年比52%の高い伸びを示したという。実は、この市場拡大を支えているのが小売ネット通販市場の急成長である。「手切族」(ネット通販に熱中し過ぎて手を切り落として買い物できないようにするしかないと自嘲する人のこと)は最近の中国を象徴する流行語の一つ。昨年の「双11」(11月11日、中国最大のネット通販特売日)のたった1日で、主要通販サイトが受注した商品の宅配便が約5.1億個に達し、配送員を新たに25万人増員して配送に当たったという。まさに桁違いの数字だ。(わ)