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大連レポート

○大連に「体験型アンテナショップ」開店 ○日本産木材の中国市場開拓の可能性

2015-02-27

○大連に「体験型アンテナショップ」開店
 春節時期に急増した訪日観光客の「爆買い」は、高級百貨店、大型スーパー等の消費を激しく喚起し、日本ではテレビを中心にマスコミ各社一斉に春節商戦で賑わう中国人客の様子を報道したため、中国人マーケットの大きさと日本商品への信頼感を再認識した日本国民も多かったのではないかと想像する。90年代から2000年代初頭、中国への投資ブームに乗り、日本のビジネスマンが大挙して中国を視察訪問していた時代とは逆の動きであり、隔世の感がある。さて、かくも強い引き合いがある日本商品ではあるが、中国で日本商品を扱う常設実店舗のアンテナショップを運営するのは極めて難しい。立地条件の良い店舗には高い家賃がつきもの、高騰する人件費など維持運営に相当のコストがかかるため、売れ筋商品を常に確保しなければ維持管理で行き詰まる。信頼性が高い日本商品であれば簡単に売れるということは決してなく、むしろ、中国各地の現地事情を踏まえた市場調査やマーケティングへの取組はこれまでにも増して更に重要になってくると予想している。 
 このような状況下、昨年12月に日本商品「体験型アンテナショップ」(日本製品中国市場販売支援会第1号店)が大連オリンピック広場の百盛デパート地下1階にオープンした。このショップの特長は、安価な費用でテスト販売ができる点、代理販売を希望する中国企業とのマッチングサポート、さらに、通販販売サイトへの誘導、具体的には、商品にQRコードを付加し、携帯端末で簡単にアクセスできる仕組みを順次構築していくとのこと。店内の半分に日本式パン屋及び喫茶コーナーが併設され、アンテナショップの維持管理の協力に充てる等、これまでのアンテナショップには見られなかった工夫が施されている。今年4月開業予定の地下鉄駅出入口のすぐ横という好立地条件を活かし、集客力アップにも期待したい。(わ)

(店頭には新潟県企業生産の米菓が並ぶ)
○日本産木材の中国市場開拓の可能性
 去る2月9日、糸魚川から越後杉販促を目的とした訪問団の来訪に合わせて、長興島輸入木材処理区の木材燻蒸施設を視察した。当該施設は昨年12月に国の専門機関の許可を受け、中国国内で3番目、中国東北地方では唯一の国家レベルの輸入木材処理区となっている。中国国内では既に木材伐採が原則禁止となる中、今後急拡大する木材需要に応えるため、木材加工処理も含めた大規模な木材集積地としての役割が期待されている。残念ながら、現段階では日本産原木は中国国内の木材燻蒸施設を活用することができないため、当該施設の活用(燻蒸前の丸太輸出)は中長期的な課題となっているが、これから大量に伐採期を迎える日本産木材の中国輸出量がどの程度見込まれるのか、今後の展開が鍵となってくる。 
 さて、日本産木材の中国市場開拓について、すでに日本国内の他地域で取組事例は見られるものの、流通量はごくわずかで、杉やヒノキなど日本産木材の良さや特長はほとんど知られていない。中国は集合住宅中心で木造住宅は少なく、その木材需要は、構造材ではなく、床・壁等の内装や家具が中心となる。日本からの輸入木材となれば高級品に属するが、価格帯的には昨今の円安も追い風となり、その良さが理解できれば手が出ない金額ではなくなっている。今回、フローリング材として越後杉を選んだ新築住宅を視察したが、家主の奥さんが木の香りに敏感な人で、ナラ材など数ある木材から越後杉の香りを大変に気に入り、特別に選定した経緯があることがわかった。越後杉の色合いや温かみにも満足し、何よりも日本の品物は安全との家主のコメントが印象に残っている。杉の香りや木目、色彩等の特徴を活かした高級品市場を開拓していく際に、他の木とは違う越後杉の良さを前面に出した内装を、設計段階から現地の内装・設計業者と一緒になって宣伝開発していく地道な取組が必要であると考え、4月以降に設計業者を対象とした説明会を開く方向で準備を進めている。(わ)
 (越後杉フローリング材使用の新築住宅一室)