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大連レポート

○日中関係改善の動きと影響

2015-06-24

 5月23日、人民大会堂での歓迎宴「日中観光交流の夕べ」に出席した。日本の訪問団総勢3千名が集まる大イベントで、当日夕方は、天安門広場の封鎖、附近地下鉄駅の利用禁止措置など中国側の徹底した対応ぶりには驚かされた。そして、最も驚いたのは、歓迎演説に登場した習近平国家主席の柔和な笑顔であった。日中友好の歴史や自らの体験を踏まえ、「中日友好の基盤は民間にあり、中日関係の前途は両国人民の手中にある」と未来志向で語られた日中友好へ期待は大変に心に響く内容であった。当然のことながら、マスコミ各社は政治家の発言として、表面上の意味よりも、その隠れた意図や国際情勢から来る裏事情などを競って分析しており、そのような側面があることも否定できないだろう。しかし、日中間を跨ぐ仕事をする関係者にとって、国家主席が日中関係重視の姿勢をここまで高らかに宣言したことは、日中関係改善の方向へ大きな前進、少なくとも日中関係のビジネス関係者にとって、今後の事業推進にプラスに働く要素として、大きな期待を抱かせる内容であった。

(「黒龍江省-日本経済貿易協力交流会」で演説する陸省長)
 このような動きは地方政府にも素早く波及、次世代の若きリーダーとして注目されている陸昊省長が自ら発案したという「黒龍江省-日本経済貿易協力交流会」が6月16日に北京にて開催され、黒龍江省政府幹部、現地有力企業及び日系企業関係者およそ350名が一堂に介する盛大な会合となった。陸省長の1時間にわたる熱のこもった演説、地元政府要人や省内有力企業幹部を集めてのビジネスマッチングなど官民挙げての大イベントの様相を呈していた。中国の地方政府幹部の海外渡航は厳しく制限されているものの、国有企業はもとより、中国各地で活躍し実力を持った民間企業のグローバルな活動が中国経済の大きな推進力となっており、その活力を日系企業、ひいては県関係企業が積極的に取り込んでいかなければならないことを改めて感じさせられた。
 折しも、今月13日から、大連市政府の全面バックアップのもと、「大連日本商品巡回展」が大連市中心部のオリンピック広場「野外特設エリア」で、9日間にわたって開催された。  
(「大連日本商品巡回展」の新潟県ブース)
 日本食品又は日本関連商品を扱う約50のブースが軒を連ね、新潟県からも2ブース出展、キッチン製品、ニット製品、水耕栽培設備など県企業関連商品の宣伝PR及び即売会を行った。連日の晴天と一定の集客力に支えられ、会場販売額は伸び、当初期待していなかった商談成約額も意外に伸びた。屋外催事で入場制限なしということで、幅広い所得者層が集まり、ワンプライスの百貨店とは異なり、厳しく価格交渉する客は数多かったが、販売コミッションが発生しない条件のため、割安感を感じた消費者も多かったことだろう。
 手軽なネット通販サイトや代購の売上急拡大、一方で、テナントの入り変わりが激しく、来場者も疎らな高級ショッピングモールが散見される中国消費市場を見るにつけ、溢れる商品を前に消費者からの細かい選別が行われる厳しい時代に入ったことを実感している。

(新潟県ブース内の商品・・・キッチン製品、ニット製品、水耕栽培設備)
 さらに、大連市内に「江戸小城」なる日本商品アウトレットモール設置計画が既にスタートしており、テナント募集、今年秋から試営業、来春には全面開業を目指した動きが本格化する。右肩上がりで伸びる購買力を背景に、更なる需要増が見込まれる日本商品、これに関係するビジネスチャンスを獲得する動きが急速に広がっている。