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大連レポート

○ハルビン大連高速鉄道利用の影響 ○香港FOOD EXPOに出展

2013-08-18

○ハルビン大連高速鉄道利用の影響

昨年12月に開通したハルビン大連速鉄道は4月より夏ダイヤでの運行開始によりスピードアップ、時速300キロ余りで両都市間全長約900kmを最短3時間半で結んでいる。私自身もビジネス客として頻繁に利用する常客で、先日はハルビンへの日帰り出張も敢行した。列車自体の揺れが少なく、シートもしっかりしているため、乗り心地は日本の新幹線と遜色ない。一方で、この高速鉄道開通後、両都市間を1時間半で結ぶ航空路は夕方遅くの1日1便のみとなり、事実上、空路による移動の選択の余地はほとんどなくなった。

 さて、今年の夏も各地で異常気象が続いているが、ここ大連でも濃霧発生が著しく多く、突然の豪雨に見舞われるなど雨の日が多い。そんな中、先月26日に毎年恒例の大連ビール祭りが開幕した(8月11日閉幕)。このビール祭り、屋外の仮設テントで行われているが、これだけ天候不順に見舞われ、雨の日が多いにもかかわらず、客足は絶好調とのこと。地元紙によると、中国東北部から高速鉄道を利用した旅行客が昼夜と大挙して訪れているようで、背景として、高速鉄道とビール祭りをセットにしたツアー商品が大人気で、両方の集客を同時に増やす効果を発揮しているという。どうやら、この高速鉄道、すでに観光客の誘客という面でも大きな影響を与えている。(わ)
○香港FOOD EXPOに出展
 香港最大級の国際総合食品見本市「FOOD EXPO 2013」への新潟県関係企業5社(NICO取りまとめ、会期8月15~17日)出展をサポートした。日本全国各地からの大量出展で、米、清酒、和牛、海鮮、果物、お菓子、調味料など日本全国、北から南までの食品特産物が効率良く集められており、香港市場への期待の大きさが感じられる。
 日本の食品は「安心・安全、長生きができて、美容に良い」「高級感があって、おいしい」という称賛の声をよく耳にするところであるが、これを裏付けるかのように今年3月、ジェトロによる「日本食品に対する海外消費者意識アンケート」が公表された。その中では、「好きな料理かつ外食で食べる外国料理」という質問に対して、中国(大陸)及び香港で共に、実に4分の1の人が「日本食」と答え、圧倒的な1位であったという。
(「FOOD EXPO 2013」新潟県企業出展の様子)
 また、農林水産省が発表した2012年の日本の農林水産物の輸出先のトップは香港で、ここ数年トップが続いている。なるほど、白米と玄米の味の違いを感じ取ろうとする真剣な表情は、香港人の日本食に対する認知度が大変に高いことが垣間見られる。新潟からの玄米輸出と香港での精米により新鮮なお米を供給する体制を構築した動きが昨今注目されているが、「日本食通」を既に多く抱え、食の輸入に関する規制が少ない香港でこそ可能となる商機といえる。一方で、日本食文化が既に深く浸透する香港にあって、高級百貨店や日系スーパーでの日本食品の品揃えは驚くほど豊富。輸入食材を幅広く扱う某高級スーパーでは日本米の専用棚に各地各銘柄のお米が数多く陳列され、既に過当競争の域に入っていることがわかる。
  こうした中、香港では、食品特有の冷蔵デリバリー体制も日本並みに完備しつつあり、かつ、インターネットサイトとタイアップした小口配送機能も整えられ、日本食の消費拡大は物流面からも一層の後押しになっていくことは間違えない。また、某ブースでは日本料理の技術者養成を柱とする企業の出展があり、現地で料理人を育成する動きは、外国人経営の日本食レストランの広がりを支えていることが伺われる。
 今回の見本市で、香港を起点に独自のルートで中国大陸を含む地域への販売網をもったバイヤーに遭遇したが、中国大陸の食の輸入に係る規制を逆手に取るバイヤーも数多く存在していることは容易に想像できる。中国大陸、香港を含むアジア富裕層が今後ますます増加していくなか、アジアを席巻することが確実視される日本食マーケットは急速な勢いで拡大しており、その熱気の一端を感じとることができた。(わ)