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大連レポート

○中国の就労許可制度が4月から改正 ○糸魚川産越後杉利用促進説明会開催

2017-04-12

○中国の就労許可制度が4月から改正
  従来、中国で我々外国人が就労許可を受ける際は、「各地で制度が違う」、「複数部門による管理」、「多重審査」、「審査基準が曖昧」、「時間がかかる」等の煩わしさがあった。また、中国経済の高度化に伴う「ハイレベル人材」の需要の高まり、外国人労働者急増による中国人の就職難・不法滞在者増加等による「ローレベル人材」制限の必要性等が生じてきた。これらを背景に、昨年10月からの北京、上海等10地区での試行期間を経て、4月から新たな外国人就労許可制度が中国全土で施行されることとなり、3月21日に大連でも在大連領事事務所、大連日本商工会、ジェトロ大連共催で「就労許可制度改正の概要」をテーマにセミナーが開催された。当日は約150人の出席者で会場は満員となり、今回の制度改正に対する日系企業の関心の高さが覗えた。
  同セミナーによると、今次改正のポイントは、ア)外国人就労者をA、B、Cのカテゴリーに分類、イ)A類(ハイレベル人材)に対する手続上の優遇措置(審査時間短縮、全てインターネット手続可等)、ウ)申請資料簡略化、エ)2種類の許可証の統合、 オ)統合された許可証に対し、生涯不変の個人番号を付与 等々。特に注目されるのが外国人就労者の分類で、A(ハイレベル人材)、B(専門人材)、C(普通人材)の種別毎に分類基準が明記され、基準の一つとして、中国での年間給与、学歴、中国語能力等を点数化した評価制が導入されたことである。
  A類は中国の発展に必要なノーベル賞受賞者や「世界500企業」本社の高級管理職、35歳以下で世界上位200大学の博士、評価制度で85点以上(最高は120点)の者等今後積極的な誘致対象となる人材。B類は60歳未満を前提に、学士号以上の学歴と2年以上の勤務歴を有する役職者、60点以上の者等で、日系企業に勤務する方々の多くはこのB類に該当すると思われる。C類は60歳未満を前提に、臨時的、季節的、非技術的、サービス的な業務等に従事する者で、就労が認められるのは特殊ケースのみという。少なくともB類に該当しないと就労許可は下りないため、60歳以上の更新、役職のない若年層の駐在・現地採用の際は注意が必要との助言があった。60歳の年齢制限に関しては、後日開催の大連市政府説明会で、実投資額50 万元を超える企業の経営者は年齢・学歴制限なし、それ以下の企業の総経理(場合により副総経理)は65歳未満なら可と口頭で説明があった由である。 
  4月6日現在、遼寧省では依然として旧来のまま対応している市もあり、本県の友好都市である黒龍江省の省都ハルビン市も7月以降施行予定とのことで、相変わらず各地で扱いが異なっている。
  巷では「点数のみでカテゴリーが決定される?(実際は点数は基準の一つに過ぎない)」「点数が低ければCランク?(点数が低くとも他の基準を満たせばB)」「駐在員は自動的にB?(基準の一つを必ず満たす必要あり)」等の誤解が広く生じているとのことで、新制度の要求事項をしっかり理解する必要がありそうだ。(こ)
○糸魚川産越後杉利用促進説明会開催
  面積の約9割を森林が占める糸魚川市は、豊富な木材資源を有効活用するため、2013年から官民で中国への杉材輸出に取り組んでいる。これまで主に大連で、商談会出展、高級家具センターでのサンプル常設展示、現地設計士向け説明会等を行い、糸魚川産越後杉のリラックス効果、保温調湿効果、疾病予防効果、省エネ効果等をPRしてきた。
  中国の建築用材は、くるみやオールナット、チークといった固い木材が主流で、比較的柔かい杉の認知度は低く、高価格なのがネックだが、現地設計士にサンプルを送る等の地道な努力が実を結びつつあり、既に大連で7名の設計士が糸魚川産越後杉を使っており、その中には同市で五指に入る高名な設計士も含まれているという。  
  2月17日、大連市内で糸魚川市・ジェトロ大連共催で開催された第2回説明会では、越後杉の伐採・製材の模様、日本での建築事例に加え、北京のヨガ教室、大連のワイナリー・一般住宅等中国での建築事例も次々と映像で紹介された。当日出席した約20名の設計士からは、越後杉の特性、産地、単価等について真剣な質問が相次ぎ、糸魚川市代表団も手ごたえを感じた様子であった。決して安くない価格帯、輸出量に限りがあること、他の用材との兼ね合い等から富裕層向け住宅や高級レストラン等用途は限られるが、多くの中国人にその肌触り、香り、色合いを味わってほしい。(こ)