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黒龍江ニュース

○空路「新潟ハルビン線」増便

2016-09-21

   7月11日(月)から8月27日(土)まで、夏の繁忙期に合わせて空路直航便「新潟ハルビン線」が週6往復(月水木金土日)に増便された。期間中の利用状況は未発表だが、この増便を利用した訪日旅行ツアー等も多く組まれ、一定の利用客数があったようだ。新潟ハルビン線の平成27年度年間利用客数は、前年度比33パーセントの増(新潟県発表)となり、数字としては日中関係が冷え込んだ2012年以前の水準を上回り、1998年の定期航空路線開設以来過去最多となった。これは主に中国からの旅行客増が要因で、当時の円安状況下での比較的安価な旅行商品に対する人気や、「爆買い」目的での訪日のためと考えられる。最近では「爆買い」の勢いもピークを越えたという見方が多いが、この増便期間中の7月30日(土)には新潟空港国際線ロビー内に大手家電量販店の免税店が出店するなど、なお中国訪日客の消費に対する期待は高いままだ。


    一方で、新潟ハルビン線を取り巻く状況も変化してきている。これまでハルビンから日本への直航便は新潟と大阪(関西国際、火木土)のみだったが、訪日客の増加に伴い格安航空会社が参入したこと等によって現在は名古屋(中部国際、月水土)、東京(成田、水土)といわゆる「ゴールデンルート」周辺の目的地へ直接到着する定期便ができた。これによりビジネス利用客や定番コースとして東京等を目指す旅行客にとっては便利になった反面、これまで新潟空港を利用していた旅行客が流れてしまうことも想定される。新潟にとって旅客数確保はもとより空路維持に対しても強力なライバル路線ができたことになる。また最近では、日本に複数回訪れたことがある旅行客にとっては北海道や沖縄がセカンドチョイスの主な候補として地位を固めており、結局は日本人の国内旅行者に対してと同じく、地域の魅力をいかに高めて発信していくかという「地域間競争」の局面を迎えている。 

    新潟は、これまでと同様に黒龍江省やハルビン市との友好関係を活かして航路を維持するとともに、これまでのターゲットだった「富裕層」向けの対策から、あまり個人消費単価は高くないものの、年々層が厚くなっていると言われる中間層向けのPRも必要になってくるだろう。実際に、「日本製」商品への需要にしても、高い独自技術を使った炊飯器や温水便座等の高価な家電や加工品等よりも、より日常的に頻繁に使用する消費財が求められてきている。ベビー用品や健康食品等、安価でありながら安全・安心な「日本製」商品への希求は増しており、今後も我々日本人の予想しない分野、商品が思わぬ人気を生むことも考えられる。まずは実際に新潟を訪れた各国旅行客にとって何が魅力なのかを知り、外国人観光客目線での情報発信を続けていくことが必要だが、さらに各国の潜在的旅行客が日本旅行に何を求めているのか現地で先取りして察知できれば、大きなアドバンテージを得ることができるかもしれない。たとえば新潟県は中国のSNS等を通じて各種情報発信を行っているが、同時に「代理購入(代購)」に励む中国人の様子をうかがうことができる等、中国中間層の実生活を知るための情報収集の場にもなっている。今後もこれら有用な情報ツールを活用し、引き続き情報収集を進めていきたい。(J)